第6章『龍の都の決戦』
玲奈は、金色の竹簡を胸に抱えながら、神無月を睨みつけた。
彼の後ろには、黒ずくめの手下たちが数人並び、銃を構えている。
慎吾が玲奈の前に立ち、低くつぶやいた。
「どうする? 逃げ道はあるのか?」
千草は冷静に周囲を見渡す。
「この遺跡に、別の出口はない。でも…」
彼女は玲奈の手の中にある竹簡と鏡を見た。
「時の鏡が、何かを見せようとしている。」
玲奈はふと鏡を見つめる。
その表面が、淡く光を放ち始めていた——
時の鏡の力が発動
突然、玲奈の意識が遠のき、またしても視界が歪んでいく。
——今度は、壱与が最後に見た未来の映像が流れ込んできた。
壱与は、龍の都の奥深くで鏡を見つめていた。
その鏡には、大和政権が誕生し、邪馬台国の存在が消えていく未来が映っていた。
「倭の歴史は…このままでは失われる。」
壱与は、鏡を通してもうひとつの未来を見た。
それは、倭の記録が守られ、未来の人々がその遺産を使って新たな時代を築く姿だった。
「私の遺志を継ぐ者よ、この財宝を未来のために使いなさい。」
——次の瞬間、玲奈の意識が戻る。
慎吾が玲奈の肩を揺さぶっていた。
「玲奈、しっかりしろ!」
玲奈は息をのみ、神無月を睨みつけた。
「この遺産は、ただの財宝じゃない。これは、倭の未来のためのもの。」
神無月は薄く笑う。
「俺には関係ない。俺が欲しいのは、その財宝そのものだ。」
戦闘開始
神無月が手を振ると、手下たちが玲奈たちに向けて一斉に銃を構えた。
慎吾が玲奈の腕を引く。
「伏せろ!」
銃声が響く前に、千草が巫女たちに合図を送る。
次の瞬間、巫女たちは一斉に煙玉を投げ、辺りが真っ白に包まれた!
「今のうちに!」
玲奈たちは、祭壇の後ろへと走った。
「くそっ…!」
神無月が煙を手で払いながら叫ぶ。
だがその時——
ゴゴゴゴゴ……!!
遺跡の天井から、小さな石が落ちてきた。
慎吾が顔を上げる。
「…遺跡が崩れ始めてる!」
龍の都の崩壊
千草が目を見開く。
「封印を無理やり破ったせいで、遺跡全体が不安定になっている!」
玲奈は息をのむ。
「じゃあ、このままじゃ…!」
その時、鏡が再び光を放った。
玲奈はふと、それを見つめる。
この鏡の力を使えば…遺跡を守れる?
慎吾が叫ぶ。
「玲奈、急げ! ここが崩れる前に…!」
だが、神無月は逃げようとしなかった。
彼はまだ、竹簡と鏡を狙っていた。
「俺はこんなところで終わるつもりはない!」
彼は玲奈に向かって一歩踏み出した。
だが、その瞬間——
「あぶない!」
玲奈が叫ぶと同時に、天井が大きく崩れ、神無月の周囲を瓦礫が覆った。
神無月の運命
遺跡の崩落が激しくなる中、玲奈たちはどうにか外へ向かって走る。
慎吾が振り返る。
「神無月は!?」
千草が険しい表情で言った。
「彼は…もう助からないかもしれない。」
だが、玲奈は神無月がいた場所をじっと見つめる。
「…まだ終わってない気がする。」
慎吾が玲奈の腕を引く。
「今は行くぞ! これ以上ここにいたら、俺たちも生き埋めになる!」
玲奈は、最後に鏡を見つめた。
そこには、うっすらと未来の光景が映っていた。
神無月は、本当に死んだのか? それとも…?
玲奈は、その答えを知るために、次へ進まなければならなかった。