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第4章『龍の都の封印』

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龍の都へ続く道は、深い山の奥に隠されていた。
千草の古地図を頼りに、玲奈、慎吾、影の巫女たちは山を進んでいく。

「ここが…封印の門?」

玲奈の前に立ちはだかっていたのは、古びた石の門だった。
表面には、何百年も前のものと思われる文字が刻まれている。

慎吾がそれを見上げながらつぶやく。
「完全に遺跡だな。まるで、古代の神殿みたいだ。」

千草は門の表面に手を触れながら言った。
「この門は、壱与が最後に施した封印の一部よ。」

玲奈は息をのんだ。

「じゃあ、この封印を解くには…?」

千草は玲奈の方を向いた。
「あなたが解かなければならない。」

玲奈は、自分の胸に手を当てた。
「私が…?」

「ええ。壱与の血を引く者だけが、封印を解くことができる。


壱与の記憶が甦る

玲奈が門に手を触れた瞬間——

視界が暗転し、過去の記憶が流れ込んできた。

——壱与の時代。

古代の龍の都には、巫女たちが集まり、未来を占っていた。
しかし、卑弥呼が亡くなった後、倭の国は混乱に陥る。

壱与は、龍の都を封印する決断をした。

「この都は、未来を切り拓く者のために残さねばならない。」

「私の血を引く者が、この門を開く時、倭の本当の未来が明らかになるだろう。」

——その光景が、玲奈の頭の中に鮮明に蘇る。

玲奈は息を呑み、目を開いた。

「…封印を解く方法がわかった。」

『封印を解く試練』

玲奈は、封印の門の前に立ち、千草の言葉を待った。
千草は石の門に手を当て、ゆっくりと説明を始める。

「この門には、壱与が施した封印がかかっているの。」

「その封印を解くには、三つの試練を乗り越えなければならない。」

玲奈はごくりと唾を飲み込んだ。

「三つの試練…?」

千草は頷く。

「最初の試練は、記憶の扉。」
「あなた自身が、壱与の記憶をより深く思い出さなければならないわ。」

「記憶を…?」

玲奈は、先ほど竹簡に触れたときに蘇った光景を思い出した。
あの時、確かに壱与が龍の都を封印している場面が見えた。
でも、それだけでは足りないのだろうか?

「壱与がどのように倭を統一し、なぜこの都を封印したのか——その理由を知ることが鍵になるわ。」

玲奈は息をのんだ。
もしそれができなければ、封印を解くことはできない。

「二つ目の試練は、龍の守護者。」

慎吾が驚いたように千草を見た。

「龍の…守護者?」

「ええ。封印の門には、古代の巫女たちが祈りを込めて召喚した“守り神”が宿っている。
それを乗り越えることで、あなたが本当に壱与の力を継ぐ者であると証明しなければならない。」

玲奈は拳を握りしめた。

「つまり、ただ記憶を思い出すだけじゃなく、それを証明しなきゃいけないってことね。」

千草は頷く。

「最後の試練は…未来の選択。」

玲奈の心臓が大きく跳ねた。

「未来の…選択?」

「そう。封印を解いた後、あなたは選択を迫られることになる。」

「財宝をどうするのか?」

「未来のために守るのか、それとも手放すのか——」

「それはあなたが決めること。」

玲奈は千草の言葉をじっと聞きながら、自分の手を見つめた。

私は、この試練を乗り越えられるのだろうか?

神無月の強行突破

その頃——

「…玲奈たちが封印を解く準備をしているようだな。」

神無月の部下が、密かに門の様子を監視していた。

神無月は不敵に笑った。
「封印を正式に解くには時間がかかる。だが…こっちはそんな面倒なことはしない。

彼は手に持った古文書を開いた。

「封印を無理やり破る方法は、ちゃんとあるんだよ。」

それは、禁断の術
正規の方法ではなく、強引に門を開ける呪術だった。

神無月の手下が、門の前に呪符を貼る。
「本当にこんな方法で開くんですか?」

神無月は笑う。
「壱与の血がなくても、開けられるさ。壊すだけならな。」

すると——門が不気味な音を立て、ひび割れ始めた!


龍の都への突入!

玲奈は門の前で試練を始めていたが、その瞬間——

「玲奈! 門が…!」

慎吾の叫び声とともに、封印の門が崩れ始めた。

「まさか…!?」

千草が門を見つめ、息をのむ。

「誰かが…強引に封印を破ろうとしている!」

門の向こうから、闇のような気配が迫ってくる。

そして、門のひび割れた隙間から、神無月の影が現れた。

「よぉ、玲奈。悪いな、こっちが先に通らせてもらうぜ。」

龍の都を巡る最初の戦いが、ここに始まる——!

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