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第3章『龍の都への道』

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「本当に、この地図に道が記されているの?」

慎吾は、影の巫女のリーダー・千草が広げた古びた竹簡を覗き込みながら眉をひそめた。
紙ではなく、細長い竹の板に文字が刻まれている。

千草は静かに頷いた。
「この竹簡は、龍の都への道を示す唯一の記録。
しかし、文字の多くが時とともに消えかけているわ。」

玲奈は目を凝らして竹簡を見た。
古代文字が刻まれているが、部分的に摩耗している。

慎吾がスマホを取り出し、カメラでスキャンしようとしたが、千草がそっと手を伸ばして止めた。

「これはデジタルでは読み解けない。この文字には、古の呪術が込められているから。

慎吾は肩をすくめた。
「本当にそんなことがあるのか?」

「あるわ。」

玲奈は、不思議な感覚に包まれていた。
この文字、どこかで見たことがある——?

指を竹簡にそっと触れた瞬間——

——強烈な光が脳裏を駆け抜けた!


壱与の記憶

玲奈の意識が遠のく。
まるで時間が逆流するように、目の前の景色が変わった。

——そこは、かつての倭。

巫女たちが集い、夜空に向かって祈りを捧げている。
その中央には、ひとりの少女——壱与

彼女は両手を広げ、龍の都の封印を施していた。

「この都は、未来のために封じねばならない。」

「いつか、私の血を引く者が、この封印を解く。」

「その時、倭の未来が動き出す——」

玲奈の鼓動が早まる。

——私は、ここにいた!?

まるで自分自身がその場にいたかのような感覚が押し寄せる。

「玲奈!」

慎吾の声に引き戻され、玲奈はハッと目を開いた。
気づけば、彼女は地面に倒れ込んでいた。

「大丈夫か?」

千草が玲奈の肩を支えながら、彼女の瞳を覗き込んだ。

「あなた、何を見たの?」

玲奈は、震える声で言った。

「…封印。龍の都は、壱与が封印したの。」

慎吾が目を見開く。
「封印って…つまり、簡単に入れないってことか?」

千草は静かに頷いた。
「そう。封印を解くためには、壱与の血を引く者の力が必要。」

玲奈の心臓が高鳴る。

「それって…私?」

千草はゆっくりと頷いた。
「そう。あなたこそ、封印を解く鍵。」

玲奈は、自分の手を見つめた。
まさか、自分が龍の都へ入るための「鍵」になるなんて——。


一方、その頃:神無月の動き

九州・某所。

「…玲奈たちが動き出したらしい。」

神無月のリーダーは、部下からの報告を聞きながら微笑んだ。
「ほう…やはり龍の都は実在するようだな。」

彼はテーブルに広げられた地図を指でなぞる。

「影の巫女どもは、正式なルートで龍の都へ行くつもりだろう。
だが、俺たちは違う方法で行く。」

「どうやって?」部下が尋ねた。

神無月は笑う。
「…壱与の血筋じゃなくても、封印を解く方法はあるのさ。」

彼の視線の先には、一枚の古文書があった。
そこには——禁断の方法が記されていた。

「玲奈、お前が封印を解く前に、俺が龍の都の財宝を手に入れる。」

神無月の一味が、不気味に動き始めた。

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