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第8章:邪馬台国の遺跡へ

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2025年・富士山麓 本栖湖

——ドォォォン!!

湖の水面が割れ、巨大な神殿がゆっくりと姿を現した。

玲奈は、目の前の光景に言葉を失った。

湖の中央から、まるで古代都市の一部のような「石造りの神殿」が出現したのだ。

慎吾が湖の水面に浮上し、ボートにしがみつきながら叫んだ。

「玲奈! 扉の奥にあった“鏡”が反応した……!!」

玲奈は、竹簡を強く握りしめた。

「天が二度裂かれる時、鏡は真実を映し出す。」

その意味が、今ようやく分かった。

「湖の底に眠っていた遺跡が……鏡の力で浮上したのよ!!」

慎吾は息を切らしながら頷く。「つまり、ここが……邪馬台国の真の王都の一部!?

影の巫女のリーダーが、神殿をじっと見つめながら静かに言った。

「……ついに封印が解かれた。」

玲奈は振り向いた。「あなたたちは、この神殿のことを知っていたの?」

影の巫女は頷いた。

「ここは、邪馬台国が魏と密約を交わし、“秘宝”を封じた場所……『水鏡宮(すいきょうきゅう)』 だ。」

玲奈の胸が高鳴る。

「秘宝って、まさか……!」

巫女は玲奈を見つめ、深く頷いた。

卑弥呼が最後に遺した“鏡”こそが、その秘宝……だが、それを開放することは、世界に新たな災いをもたらすかもしれない。


神殿内部へ——禁断の扉

玲奈と慎吾は、影の巫女の導きのもと、神殿の入口へと向かった。

遺跡の外壁には、古代文字が刻まれている。

慎吾がライトを当てながら呟いた。「……この文字、魏の時代の漢字と倭国の古代文字が混ざってるな。」

玲奈が慎重に文字を読み上げた。

「ここに入る者、慎むべし。鏡は、時を超え、すべてを映す……。」

(時を超え、すべてを映す……?)

玲奈は壁の隙間をなぞった。

(これは、ただの鏡じゃない。何か……もっと大きな秘密がある……。)

慎吾が慎重に扉を押した。

——ギギギギ……!!

巨大な石の扉が、重々しく開かれる。

中には、広大な“封印の間”が広がっていた。

玲奈の目が、大きく見開かれる。

「……これは……!」

封印の間の中央には、巨大な円形の鏡 が鎮座していた。

鏡の中央には、赤い宝石が埋め込まれている。

慎吾が驚いた声を上げる。「これが、秘宝の“鏡”……!?」

影の巫女のリーダーが静かに頷く。

これこそが、“時の鏡”……卑弥呼が魏から授かり、封印した力の結晶。

玲奈は息を呑んだ。

「時の鏡……?」

「この鏡は、単なる銅鏡ではない。“未来と過去を映す力”を持っているのだ。

玲奈の心臓が激しく打ち始めた。

(未来と過去を……映す……?)


鏡に宿る“驚愕の力”

慎吾は鏡の表面に近づいた。

「……本当に未来が見えるってのか?」

影の巫女のリーダーは、慎吾を鋭い目で見た。

「触れるな。鏡の力を制御できなければ、すべてが崩壊する。」

慎吾は一歩後ずさる。

玲奈は慎重に竹簡を取り出し、そこに書かれた文字を鏡と見比べた。

「鏡は、時を超え、すべてを映す……。」

玲奈はふと、竹簡の最後の部分が「何か」に隠されていることに気づいた。

(もしかして……)

玲奈は、竹簡を鏡の前に掲げた。

すると——

——鏡が、まばゆい光を放った。

玲奈の頭の中に、映像が流れ込む。


映し出された“過去”

——3世紀、邪馬台国。

玲奈の目の前に、まるで映画のような光景が広がる。

そこには、卑弥呼の宮殿 があり、多くの人々が彼女の前にひれ伏していた。

「……本当に、これが……邪馬台国……?」

玲奈は言葉を失った。

卑弥呼の姿も、はっきりと見える。

彼女は、魏の使者から“鏡”を授かっていた。

魏の使者が、卑弥呼に向かって低く言った。

「この鏡の力を決して開放してはならない。」

卑弥呼は、ゆっくりと頷く。

「……これは、未来を映し、歴史を変えてしまう力。」

「だからこそ……封じねばならない……。」


玲奈が見た“未来”

その瞬間——

映像が、突然未来へと飛んだ。

玲奈の目の前に映ったのは、荒廃した日本の風景だった。

都市が崩れ、人々が混乱している。

玲奈の全身が震えた。

「……これは……?」

影の巫女のリーダーが低く言った。

鏡の封印が解かれた時、歴史は変わり、世界は混乱に陥る。

玲奈の手が震えた。

(もし、この鏡が世界に知られたら……歴史そのものが変わってしまう!?)

慎吾が玲奈の肩を掴んだ。

「玲奈……どうする!?」

玲奈は、鏡をじっと見つめた。

「この鏡をどうするか……私たちが決めなければならない……!」

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