k1

第4章:竹簡の裏に隠された秘密

paypal@vpaso.net

2025年・東京 玲奈の研究室

玲奈は、竹簡を手にしたまま肩で息をしていた。
ようやく神無月と影の巫女の追跡を振り切ったものの、まだ気は抜けない。

慎吾も荒い息を吐きながら、デスクに体を預けた。

「……まじで、命懸けの考古学調査だな。」

「本当よ……。」

玲奈は竹簡を慎重に机に置き、裏面をじっくりと見つめた。

——そこには、これまで見えなかった“別の文字”が浮かび上がっていた。

「富士の王国、開かれし時、巫女は目覚める。」

「天が二度裂かれる時、鏡は真実を映し出す。」

玲奈の指がかすかに震えた。

「……富士の王国? 巫女が目覚める……?」

慎吾が画面に富士山の地形データを映し出す。

「本栖湖の場所は分かった。でも、この“巫女”っていうのは何を意味してるんだ?」

玲奈は竹簡の文字を見つめながら考えた。

(卑弥呼は、巫女として呪術を操っていたとされる……。)

(この“巫女”が、卑弥呼自身を指すなら……何か重要な意味があるはず。)

玲奈はハッとした。

「……ねえ、慎吾。歴史の記録では、卑弥呼が死んだあと、倭国は混乱したって言われてるわよね?」

「そうだな。次の女王は壱与(いよ)だ。何か関係あるのか?」

玲奈は竹簡の文を指差した。

「でももし……卑弥呼は“死んでいなかった”としたら?」

慎吾は目を見開いた。

「……おい、それはとんでもない話だぞ。」

「でも考えてみて。歴史は勝者によって書き換えられるもの。もし、卑弥呼が死んだことになっているのが“偽り”だったら?」

慎吾は腕を組んだ。

「つまり……“巫女は目覚める”っていうのは、卑弥呼自身が今も何かを伝えようとしている?」

玲奈は頷いた。

「あるいは……卑弥呼の“真の墓”が存在する可能性がある。」

慎吾の表情がこわばった。

「……とんでもない考えに辿り着いたな。でも、それが本当なら、俺たちは歴史をひっくり返すことになるぞ。」

玲奈は竹簡を握りしめた。

「だからこそ、影の巫女や神無月が秘宝を守ろうとしているのかもしれない……。」

(この竹簡が示す場所……“富士の王国”は、卑弥呼の墓につながる鍵なのかもしれない。)

玲奈は大きく息を吸い込んだ。

「……決まりね。次の目的地は、本栖湖。」

「よし……。」慎吾が頷いた。「だが、慎重に動かないとまた追われることになる。」

その時——

「——動くな。」

玲奈の背筋が凍りついた。

——銃口が、こめかみに押し当てられていた。

神無月の刺客が、静かに立っていた。


神無月の脅迫

「……お前たちは知りすぎた。」

低く冷たい声が玲奈の耳元に響く。

慎吾はゆっくりと両手を挙げた。

「俺たちは考古学者だ。戦うつもりはない。」

「ならば竹簡を渡せ。お前たちには不要なものだ。」

玲奈は息を呑んだ。

(ここで渡したら、すべて終わる……。)

「竹簡が欲しい理由を教えてくれる?」

玲奈が静かに問いかけると、男は冷たい笑みを浮かべた。

「その竹簡には、“ある場所”の座標が記されている。邪馬台国の真の王都の場所 だ。」

玲奈の心臓が跳ね上がった。

「……邪馬台国の、真の王都……!?」

男は銃を動かし、玲奈の額に押し当てた。

「おしゃべりはここまでだ。渡せ。」

その時——

——パァンッ!

銃声が響き、部屋の窓ガラスが砕け散った。

「伏せろ!!!」

玲奈と慎吾は反射的に床に転がった。

影の巫女の襲撃だった。


影の巫女 vs. 神無月

黒装束の女が、素早く神無月の男たちに襲いかかる。

「竹簡は渡さない……それは、歴史の封印だ!」

男が銃を向けるが、影の巫女の一人が刀を振り下ろし、銃を弾き飛ばした。

玲奈は慎吾の手を引いて、再び逃走を試みた。

「慎吾、急ぐわよ!」

二人は窓を蹴破り、研究室の外に飛び出した。

「くそっ、また逃げられたか!」

神無月の男たちが怒声を上げる。

影の巫女たちがそれを阻もうと、激しい戦闘を繰り広げる。

玲奈は慎吾のバイクに飛び乗った。

「行くわよ!!」

慎吾がエンジンをふかし、闇の中を疾走する。

次の目的地——富士山・本栖湖へ!

ABOUT ME
記事URLをコピーしました