第3章:暗号解読と逃走
2025年・東京 国立博物館 地下資料室
——バンッ!
地下室の扉が爆風とともに吹き飛んだ。
玲奈は咄嗟に身を伏せた。
慎吾も隣で低く身を沈める。
黒煙が立ち込める中、影の巫女たちの動きが止まる。
「……貴様ら、また現れたか。」
煙の向こうに現れたのは、黒いマントをまとった男たち。
第三勢力——「神無月(かんなづき)」 と呼ばれる組織。
歴史の裏で暗躍し、禁断の知識を独占する謎の集団だった。
「竹簡を渡せ。これは我々のものだ。」
低く威圧的な声が響く。
影の巫女のリーダー格の女が、一歩前に出る。
「お前たちのような者に渡すくらいなら、この手で焼き払う。」
緊張が張り詰める。
玲奈は慎吾の耳元で囁いた。「……このままじゃ、巻き込まれる。」
慎吾が小さく頷く。
「合図したら、走るぞ。」
玲奈は竹簡をしっかりと抱え、全身に力を込めた。
その瞬間——
影の巫女と神無月が激突した!
「今だ!」
玲奈と慎吾は、戦闘の混乱に紛れて地下通路へと飛び込んだ。
地下通路——博物館からの脱出
二人は暗い地下通路を全速力で駆け抜ける。
玲奈は竹簡をしっかり抱え、慎吾の後を追った。
「こっちだ!」
慎吾が非常口のドアを開けた。
玲奈が駆け込んだ瞬間、後方で銃声が響く。
——ダンッ!
弾丸が壁をえぐる。
「くそっ、撃ってきたぞ!」慎吾が叫ぶ。
玲奈は息を呑んだ。
(私たち、本気で狙われてる……!)
闇の中、神無月の追手が迫ってくる。
「玲奈、次はどこに行けばいい!?」
玲奈は竹簡を握りしめ、必死に考えた。
竹簡の暗号解読
逃げる最中、玲奈は竹簡の文字を必死に解読した。
「白き峰のもと、三つの影が導く道を辿れ……」
「白き峰ってのは富士山のことだろ?」慎吾が息を切らしながら言う。
「うん、でも三つの影って何?」
慎吾がスマホを取り出し、富士山周辺の地形データ を確認する。
「……これか?」
画面には、富士山の周囲に三つの山影が重なるポイント が表示されていた。
「本栖湖(もとすこ)」——。
玲奈の目が見開かれる。
「この場所が、次の手がかり……!?」
しかし、その瞬間——
「——捕まえろ!!」
背後から神無月の男たちが迫る。
「チッ、やばい! 玲奈、車に乗れ!!」
慎吾は駐車場に停めていた車に飛び乗り、エンジンをかけた。
玲奈も助手席に滑り込む。
「くそっ、間に合うか!?」
神無月の車がすぐ後ろについた。
「しがみつけ!!!」
慎吾がアクセルを踏み込む。
——カーチェイス開始!
カーチェイス——命がけの脱出
玲奈の背後から、黒塗りの車が猛スピードで迫る。
「やべぇ、撃ってきたぞ!!」
——バンッ! バンッ!
後方の車から銃撃が放たれる。
「このままじゃやられる……!」
玲奈が後部座席からバックミラーを見ると、追跡してくる影の巫女たちも確認できた。
「なんでアイツらもいるんだ!?」慎吾が叫ぶ。
「私たちの動きを監視してたのよ!」玲奈が必死に答えた。
「どっちの組織も、私たちを逃がすつもりはない!」
「それなら、やるしかねぇ!!」
慎吾が急ハンドルを切った。
——タイヤが悲鳴を上げる!
神無月の車がぶつかりそうになり、よろめく。
「もう少し……もう少しでまける……!」
玲奈が竹簡を抱えたまま、心の中で祈る。
(ここで捕まったら、すべてが終わる——!)
逃走成功——次の目的地
慎吾は急カーブを利用し、神無月と影の巫女を巻いた。
「よっしゃ、まいた!!」
二人は大きく息をついた。
玲奈は震える手で竹簡を握りしめる。
「次の目的地は……富士山・本栖湖。」
「でも、やつらもこの情報を掴んでるかもしれない……。」
玲奈の脳裏に、不吉な予感がよぎる。
「富士山に行く前に……もう一つ、手がかりを探さないと。」
慎吾が頷いた。「それって?」
「竹簡には、まだ何か隠されている気がする。」
玲奈は竹簡をじっと見つめた。
その瞬間——
「……!」
竹簡の裏側に、今まで見えなかった文字が浮かび上がった。
「——これは!?」
玲奈の心臓が高鳴る。