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エピローグ『影の王の目覚め』

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玲奈たちは車に乗り、大和へと続く道をひた走っていた。

玲奈は助手席で、竹簡と時の鏡をじっと見つめる。
そこに記された壱与の言葉が、頭の中で繰り返されていた。

「未来を担う者よ、大和を訪れよ。そこにすべてが眠る。」

慎吾がハンドルを握りながらチラリと玲奈を見た。
「考え込むなよ。もう腹は決まってるんだろ?」

玲奈は深く息を吸い込むと、静かに頷いた。
「うん。私たちは、大和へ行く。」

「そこで…すべての答えを見つける。」

千草が後部座席で目を閉じる。
「でも、私たちだけが大和を目指しているわけじゃない。」

慎吾が口をへの字に曲げた。
「神無月のやつも、きっと動き出してるな。」

玲奈の胸に、不安がよぎった。


神無月の影

その頃、九州のとある屋敷の一室——。

机の上には、玲奈たちが見落としたもう一枚の竹簡が広げられていた。

神無月は、それを見つめながら低く笑う。

「やはり、すべては最初から決まっていたんだな。」

竹簡に記されていたのは——

『影の王、目覚める時、大和にて運命が交差する。』

神無月は、ゆっくりと立ち上がり、部下たちに指示を出す。

「俺たちも大和へ向かう。玲奈より先に、“影の王”を見つけるぞ。」

神無月の目が鋭く光った。

彼の本当の目的は、財宝ではなかった——。

大和に眠る“影の王”こそ、彼が求めるものだったのだ。


玲奈の予兆

玲奈は、時の鏡を見つめていた。
すると、その表面に、またしても異変が起きる。

淡い光が広がり、玲奈の意識が引き込まれた——。

視界の中、ひとりの男が立っていた。

彼の顔は見えない。
だが、その背後には、大和の山々が広がっていた。

「影の王……?」

玲奈は呟いた。
その瞬間、男がゆっくりと振り向いた——。

目が合う直前で、映像は途切れる。

玲奈はハッと息をのんだ。

慎吾が怪訝そうに見つめる。
「今度は何を見た?」

玲奈は鏡を握りしめ、言った。

「……誰かが、私たちを待ってる。」

「大和で——。」

慎吾が舌打ちをする。
「まったく、のんびり旅行する暇もなさそうだな。」

千草が目を開ける。
「大和には、私たちがまだ知らない真実があるのね。」

玲奈は、静かに空を見上げた。

運命の地、大和へ。

すべての謎が、そこで解き明かされる——。

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