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第2巻『太陽の巫女と龍の都』

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第1章『九州への旅立ち』

玲奈は、まだ脈打つような感覚が残る手をじっと見つめていた。
**「時の鏡」**に触れた瞬間、彼女の脳裏に浮かんだのは、遠い昔の光景。
祭壇に立つ巫女、静かに手をかざす黒髪の女性——卑弥呼
そして彼女のそばにいる、もうひとりの少女。
それは…壱与だったのだろうか?

「玲奈、大丈夫か?」
慎吾の声に、玲奈はハッと我に返った。
「うん…ただ、まだあの感覚が抜けなくて。」

時の鏡を巡る戦いを終えた彼らは、影の巫女の導きで次なる地へと向かうことになった。
九州——邪馬台国の遺跡が眠る地。

玲奈と慎吾を乗せた新幹線は、福岡へと向かっていた。


九州へ向かう理由

影の巫女のリーダーが玲奈にこう告げた。
「時の鏡は、まだすべてを映し出したわけではない。」
「邪馬台国にはもうひとつの秘密がある。それを解き明かす鍵が、九州の『龍の都』に眠っている。」

龍の都——それは、卑弥呼が魏と交渉する以前から存在した、倭の古代都市のひとつ。
伝説では、そこには「太陽の巫女」の遺産が眠ると言われていた。

「でも、神無月もそれを狙ってるはずよね?」玲奈は警戒した。
「ええ、だから急ぐ必要があるわ。」影の巫女は言った。
「龍の都は、ただの遺跡じゃない。そこには、卑弥呼が残した“未来のための財宝”の手がかりがある。」


神無月の動き

一方、その頃。

「奴ら、九州へ向かったらしい。」
暗闇の中で、神無月のリーダーが報告を受けていた。
彼の目の前には、一枚の古びた地図が広げられている。

「龍の都か…ふん、どうせ影の巫女どもは余計な真実を知りたがるだけだ。」
彼は手にしたコインを指で弾いた。
「問題は、そこに“財宝”が本当に眠っているかどうかだな。」

神無月の狙いは明白だった。
卑弥呼の遺産——それが、彼の目的だった。
それを手に入れれば、すべてを支配できる。

「いいか、奴らが龍の都に到達する前に、俺たちが見つけるぞ。」
神無月の一味が、静かに動き出した。


玲奈の中の違和感

新幹線の窓に映る自分の顔を見ながら、玲奈はふと胸に手を当てた。
鏡に映った、あの少女の姿——。
「私、いったい何を見たの…?」

慎吾が隣でスマホを操作しながら言った。
「ところで玲奈、『龍の都』って具体的にどこにあるか、わかってるのか?」
「まだはっきりは…でも、影の巫女が待ってるって言ってたわ。」
「どうも怪しいな…歴史にそんな都市の記録は残ってないんだろ?」
「ええ、だからこそ、私たちが確かめに行くのよ。」

玲奈は自分の手をギュッと握った。

「何かが私を呼んでる気がするの。」

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